副業禁止の公務員は株・FX・仮想通貨等の投資も行ってはいけないのでしょうか?
株式取引やFXは、口座開設を行えば基本的にどなたでも自由に始められます。(未成年者や自己破産者などは審査で断られる可能性あり。)
反社会的勢力でない限り職業で口座開設を拒否されることはまずありえませんが、公務員の方の場合、口座開設申し込みフォームに自分の職業を記入することに抵抗を感じるのではないでしょうか。
公務員には「副業禁止」という規則があり、ルールを破ると懲戒免職等の処分が下る可能性があります。
はたして、公務員は株式取引・FX・仮想通貨取引などを行ってはいけないのでしょうか?公務員と投資の関係をまとめてみました!
公務員の副業が禁止されている理由
この問題を解説するためには、そもそもなぜ公務員の副業が禁止されているのかという理由から見ていく必要があります。
公務員は、国・地方公共団体の公務を担当する職業です。民間企業に勤めているサラリーマンと違い、営利目的ではなく公共の福祉のために働いています。
以下のような特徴があるため、公務員は就職先として非常に高い人気を誇っています。
公務員の魅力
- 犯罪者を捕まえる警察官や人命救助に従事する消防士のように、民間の職業には無い特権が与えられている
- 国・地方公共団体により厚い保障を受けられる
- 不況下でも安定した収入が保たれている
しかし、社会的責任が重大な分、公務員にはその職務を公正に行わなければならない義務があります。
公務員の副業を禁止する法的根拠
- 信用失墜行為の禁止(国家公務員法第99条)
世間的にイメージの良くない副業につくことで社会的な信用を損ねることを防ぐ規則 - 守秘義務(国家公務員法第100条)
本業で知り得た機密情報が副業の際に流出することを防ぐ規則 - 職務専念の義務(国家公務員法第101条)
副業による肉体的・精神的疲労で本業の仕事に支障が出ることを防ぐ規則
これら3原則により、副業を行っていた公務員には懲戒免職を含めた厳しい処罰が下ることになります。
もちろん民間企業の中にも本業への支障を懸念して副業を禁止している所がありますが、公務員の場合はさらに厳格な法的ルールが制定されています。
公務員は絶対に副業してはいけないのか?
いかに国家・地方公共団体から保障されている立場とはいえ、一国民である公務員が生活費のやりくりに苦労するのは珍しい事ではありません。
そんな時は、「任命権者(所轄の大臣など)の許可」を得れば、公務員でもアルバイトを行うことが可能となります。(地方公務員法38条)
- 副業の業務内容に公務員としての社会的信頼や品位を損ねる恐れがないこと
- 副業の勤務先と公務員としての勤務先との間に利害関係が無いこと
- 副業により本業の業務効率が落ちないと認められること
という制約はあるものの、コンビニでのアルバイト程度の副業なら問題なく認められます。
公務員は投資できるのか?
それでは、株式取引やFX等の投資はどのように扱われるのでしょうか?
公務員の投資が認められる理由として、自己責任による投資が「業」とは認められないという点が挙げられます。
何らかのお店に継続的に勤務して給与収入を得る「仕事」ではないため、税法上でもオンライントレードの利益は事業所得にカウントされません。したがって、株式取引やFXなどで儲けを出しても兼業にあたらないという理屈です。
公務員でも可能な資産運用例
- 株式取引
- 投資信託
- 不動産投資
- FX
- 仮想通貨取引
- アフィリエイト
- ネットオークション
など
ただし、投資なら何でもOKというわけではありません。以下のように、事業として計画的に実行されているものはNGになる可能性が高いです。
国公法に抵触する恐れのある資産運用例
- 無許可の不動産賃貸
- ネットショップ経営
- 定期的な有料イベント
など
公務員が資産運用を行う際の注意点
いかに法的に問題ないとはいえ、公務員の方が実際にオンライントレードを行う際にはいくつか気を付けなければならないこともあります。
本業の勤務時間中に上司の目を盗んでコソコソとオンライントレードを行うのは愚の骨頂です。
たとえトイレ休憩やタバコ休憩の合間であっても、就業時間内に取引を行うのは職務専念義務違反であり、発覚すれば懲罰ものです。
実際、勤務時間中に株式取引を繰り返し、減給10分の1(3か月)の懲戒処分が下った税務署職員の事例が話題になりました。
勤務中に株取引 税務署員を懲戒処分 4年間で3千回以上
出典:産経ニュース
自分の社会的立場を利用して知り得た内部情報に基づいて有価証券等の売買を行うことを「インサイダー取引」と呼びます。
企業の買収や合併などの重要情報を事前に把握していれば容易に株価の動向を予測できるため、このような行為は金融商品取引法で明確に禁止されています。
違反者には、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金刑が下ります。
公務員には非常に多くの人たちと触れ合う機会があり、無意識のうちにインサイダー取引に抵触する可能性があります。
解雇されるどころか逮捕される恐れがあるため、上場企業関係者と関わる際には細心の注意を払わなければなりません。
当たり前の話ですが、資産運用によって利益が出た場合は確定申告を行って納税しなければなりません。(損失が出た場合でも、繰越控除の適用を受けられるため極力確定申告をすべき。)
投資による所得を職場に知られたくないからといって確定申告をしたがらない方も見受けられますが、脱税と見なされれば追徴課税が発生してもっととんでもない事態に発展してしまう恐れがあります。
出来るだけ職場にバレないようにしたいのであれば、住民税の支払いを「給与から差引き(特別徴収)」ではなく「自分で納付(普通徴収)」にするという手があります。
それでも職場の関係者に知られる可能性は0ではありません。しかし、別に悪いことをしているわけではないので、もし上司に指摘されても堂々と回答しましょう。
まとめ
このように、副業禁止と言われている公務員の方でも株式取引やFX等を行うことは十分に可能です。会社で副業が禁止されているからといって、口座開設を敬遠するのは実にもったいない話と言えるでしょう。
ただし、くれぐれも職務専念の義務を怠らないように気をつけてください。どうしても勤務時間中に市場の値動きが気になるという方は、あらかじめ指値注文を入れておくか、本業に支障が出ないように自動売買取引を活用するのも一興です。
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