2017/01/23

ドル円の軟調が続いていますが、円安トレンドは終わってしまったと思いますか?

就任式

就任式終了を受けて

先週末の1月20日(日本時間21日未明)にドナルド・トランプ大統領の就任式が執り行われました。世界中の関係者が注目していた就任演説では、トランプ氏が以前と変わらぬ「アメリカ第一主義」方針を掲げ、荒廃したアメリカ産業の復興を誓約。不満を述べるだけで行動を起こしてこなかった既存の政治家たちを非難し、アメリカを再び偉大にするために国民が団結することの大切さを訴えました。

イベント前は完全に様子見ムードになっていた為替相場は、目立った発言が無かったこともあってトランプ大統領の演説が終わるや否や円高に傾斜。一時115円台まで戻したものの、114.5円台で先週の取引を終えました。

街中では黒尽くめのアンチトランプ派のデモ隊がゴミ箱をひっくり返したりビルのガラスを割ったりして暴れていましたが、ISISのテロが発生するような非常事態にはならず。もっと大きな値動きがあるかと思っていましたが、意外とあっさり終わってしまったという印象を受けます。

調整局面は政策の見極めまで続く可能性も

2016年の11月頃から始まった怒涛の株高・円安トレンドも、2017年に入ってから軟調が続いています。トランプ政権が掲げている「保護貿易主義(輸入品に関税をかけて自国の産業を守ろうとする貿易政策)」への警戒感が強く広がっており、新しい発言がある度にマーケットが反応する神経質な状態となっています。

特に懸念されるのが、中国との貿易摩擦。トランプ大統領は以前から中国を為替操作国と名指しで批判しており、中国からの輸入品に対して高額の関税をかける方針です。これを受けて中国も米国債の売却などの手段で報復する可能性があり、米中の溝がますます深まる展開も考えられます。

2017年度最高値の118円台から114~115円台への円高は極めて健全な調整範囲であり、現時点で円安トレンドから円高トレンドに移行したととらえるのは早計です。年内に3回ほど見込まれている利上げや日銀のマイナス金利推進も円安要因。長期的なドル高・円安の流れはまだ続いていると推察されます。しかし、トランプ大統領が側近のアドバイスを無視してまで強硬姿勢を崩さないようであれば、リスク要因が増大して110円台あたりまで下押し圧力が強まる展開も考慮しておくべきでしょう。

今後のトランプ政権の見所

アメリカは民主主義国家であり、トランプ大統領がアメリカの政策を全て一人で決定するわけではありません。トランプ政権が掲げる数々の公約を議会で話し合い、立法化する手続きが必要となります。

正確な日付は定かではありませんが、2月頃には議会で「一般教書演説」と呼ばれる所信表明的な演説が行われることでしょう。これまで様々な憶測が飛び交ってきた政策が具体的に発表されるため、トランプ大統領が本気でやろうとしている方針が形となって見えてきます。

議会では共和党が過半数の議席を占めているため、通常ならばトランプ政権の政策はすんなり可決されるところ。しかし、共和党内部にも反トランプを掲げる議員が少なくなく、議会が荒れる展開もありそうです。国境税やTPP離脱など、諸外国にとっても他人事ではないテーマが多く存在するので、それらの審議の結果がはっきりするまでは相場も様子見で軟調気味なレンジ相場が続くかもしれません。

就任式の演説時にも仰っていたように、トランプ大統領は第一にアメリカ経済の復興を重視しています。インフラ投資や大規模な減税政策により消費が促進され、株価の上昇効果が見込まれています。

それらのプランが順調にいけば株高・円安トレンドが加速するでしょうが、現代の国際社会で高関税率の保護貿易を敢行すれば諸外国を敵に回しかねません。実際、農作物などに高関税を課す「スムート・ホーリー法」という法律が1930年にアメリカで制定されたことがありましたが、そのせいで世界の貿易は停滞し、世界恐慌が悪化する結果をもたらしました。

過去の例を見ても、閉鎖的になったビジネスが衰退するのは明白。メディアを筆頭に多くの人々を敵に回し、就任時点で支持率が50%を割っているトランプ氏が他者の声に耳を傾ける柔軟性を身に付けられるのか。予想が難しい分、いろいろな意味で面白い4年間になりそうです。

          
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