2016/11/14

米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利しましたが、今後為替相場はどうなっていくと思いますか?

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2016年11月8日に実施された米大統領選にて、過半数(270人)を上回る選挙人を獲得したドナルド・トランプ氏がヒラリー・クリントン候補を斥け、第45代アメリカ合衆国大統領に就任することが決定しました。事前予想ではクリントン陣営が勝つとの見方が多かったため、サプライズのあまり一時日経平均株価が1000円以上も暴落するという荒れ相場の様相を呈し、私自身市場は一体どうなってしまうのかと戦慄しました。

しかし、その翌日には逆に日経平均が1000円以上も暴騰し、あっという間に元の水準に回帰。105円台で上げ止まっていたドル円も一気に107円付近まで円安に振れ、今のところ懸念されていたトランプショックは収束しているように思えます。

賛否両論あっても、出た結果に従うのが民主主義の原則。私たちにできるのは、トランプ氏が全世界から賞賛されるような素晴らしい大統領になってくれることを期待するだけです。はたしてトランプ政権はどのような金融政策を打ち出し、アメリカおよび世界経済を変えていくのか?期待要素と不安要素をまとめてみましょう。

なぜトランプ氏は勝てたのか?

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出典:YouTube

今回の大統領選の勝利に一番驚いているのは、ひょっとしたらトランプ氏本人なのかもしれません。(笑)CNNを筆頭に多くの権威あるメディアがこぞってトランプ氏の差別的言動をピックアップし、「彼は大統領に相応しくない」と視聴者に印象付けてクリントン氏を支援していました。にもかかわらず、ふたを開けてみれば勝負はトランプ氏の圧勝。開票当初から一方的にトランプ陣営がリードする予想外の展開となりました。

その最大の理由は、アメリカ国民の反オバマ思想・不満・怒りが識者の予想以上に膨らんでいたことではないでしょうか。

オバマ氏は良い意味でも悪い意味でも「優しすぎる」大統領でした。医療保険制度改革(オバマケア)をはじめ、オバマ大統領は低所得者や移民などのマイノリティーを最重視する政策を推進しました。その結果、最下層に該当しない中間層の負担が増大し、さらに経済格差が広がることに。生活に苦しむ大多数の国民の間に政府に対する不信感が広がり、オバマ大統領の政策を維持するクリントン氏より既存の政治に従属しない型破りなトランプ氏に期待する声が増大していったのです。

メディアのイメージ操作もあまりにも露骨すぎました。クリントン氏に関しては長所のみを取り上げ、トランプ氏に関しては卑猥な言動ばかりをクローズアップ。クリントン氏を批判する意見およびトランプ氏を賞賛する意見を握りつぶそうとする偏向的な世論誘導がかえってクリントン陣営への不信感を強めることになりました。特に同性から嫌われ、女性票を伸ばせなかったのが結果に顕著に表れています。逆にトランプ陣営はTwitterやFacebookなどのSNSを有効に活用し、地方を中心に高所得者・高齢者・ヒスパニック系など幅広い層で高い得票率を獲得しました。

それに、投票日直前になってクリントン氏のメール問題が再燃したのも痛手になりました。ただでさえ富裕層の象徴のような方だけに一般大衆から白い目で見られているのに、国務長官在任中に私用のメールアドレスを公務に使っていた疑惑でFBIが再捜査に乗り出し(結局訴追は見送られたものの)、致命的なイメージダウンにつながってしまいました。

ちなみに、今回の大統領選は世界的関心を集めましたが、その投票率は歴代最低レベルの48.62%だったそうです。国家のトップを決める選挙なのですから本来は全国民が参加するべきなのに、半分の50%にも及びませんでした。オバマ氏が大統領に初就任した2008年時と比べて実に10%近くも投票率が下がっており、両候補のどちらにも期待していない人が非常に多かったことがうかがえます。獲得投票総数はクリントン氏の方がわずかに多かったというデータまであり、ある意味今回の選挙は勝者無しと言えるのかもしれません。

トランプ政権の不安要素

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トランプ氏への最大の懸念要素は、公務経験の無い政治初心者だけに何をするか分からない先行き不透明感とアンチトランプ派の存在にあります。

大統領就任後の真摯な言動を見る限り、選挙運動中の過激な発言の大半は単なる人気取りのパフォーマンスだったのでしょうが、大統領たるもの口にした公約は実行しなければなりません。しかし、イスラム教徒の入国禁止や日本に核を持たせる等の発言を本当に実現すれば、アメリカが世界から孤立する恐れがあります。

それに、選挙後トランプ氏の大統領就任を認めないと叫ぶ人々がアメリカの各地でデモを展開しており、逮捕者や怪我人が出る騒ぎになっています。メディアのみならず、オバマ現大統領や諸外国の関係者の中にもトランプ氏の大統領就任を内心快く思っていない方が少なくありません。毒舌は手っ取り早く世間の関心を集められる反面、同時に敵も作ってしまうリスクがあるという典型例。まだ何もしていないのにここまで嫌われる大統領が過去にいたでしょうか。トランプ氏はあまりにも多くの人を敵に回し過ぎました。

では、トランプ政権が予定している政策を見ていきましょう。トランプ大統領は「米国第一主義」を掲げており、同盟国に負担を求めるなどの反グローバル的強硬外交が予想されています。TPPやNFTAには反対。オバマケアの見直し、ドッド・フランク法(金融規制改革法)廃止、FRB議長の交代等はアメリカ経済の先行き不透明感を生み、ドル売り材料になりそうです。

どこまで本気か分かりませんが、不法移民の強制送還やメキシコ国境に壁を作るなどのプランは周辺諸国の怒りを招き、大規模デモやテロなどアメリカ国内の治安悪化につながる可能性もあります。

実際、選挙終了後にはカナダの移民サイトがアクセス過多でサーバダウンに陥る騒ぎが発生しました。多くの人々がアメリカからの脱出を企図しており、”Brexit”(英国のEU離脱)ならぬ”Amexit”(内向きになったアメリカの国際社会からの退場)なる造語がにわかに関心を集めています。このままアンチトランプ運動が過激化すれば、治安悪化、アメリカの分裂、1963年以来の大統領暗殺沙汰にまで発展するのではと懸念する声も少なくありません。

かといって急に現実路線に立ち返って普通の大統領になってしまったら、彼の思想に共感した人々の期待を裏切ることになります。どちらの道を選んでも、トランプ政権は前途多難です。

トランプ政権の期待要素

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出典:Pinterest

悪い噂が絶えませんが、トランプ氏が大統領に就任したことで期待できることもたくさんあります。

トランプ大統領はインフラ投資の拡大やHIA(本国投資法)をはじめとした大幅な減税策を打ち出しており、株価の上昇やドル買いの材料になりそうです。議会選挙でトランプ氏の共和党が上院・下院の両方で過半数を獲得しており、政策がスムーズに可決されるのも好材料。一部の党員がトランプ氏を嫌悪しているとの報道があるので、議会と良好な関係を築けるかどうかがトランプ氏の課題になりそうです。

また、トランプ氏は安倍首相の手腕を高く評価しており、一時は撤退するのではないかと不安視されましたが、日米同盟の強化に非常に前向きであると報じられています。プーチン大統領とも仲が良く、ロシアと新たな友好関係が構築される可能性も。トランプ大統領が第三次世界大戦を始めるのではと懸念する声もありますが、むしろリアリストビジネスマンのトランプ氏を中心に世界は平和な方向に進むのではないでしょうか。

それにトランプ氏の大統領就任により大きく売られた相場は、絶好の仕込み時でもあります。買い戻しの注文が殺到し、市場はいわゆる「お祝儀相場」と化して株高・円安のトレンドを生む可能性があります。12月にはFRBが利上げを実施すると見られており、年末に向けてさらに円安が進む展開も。トランプ氏がまた突拍子もない暴言を展開して投資家の不安を煽らなければ、むしろトランプショックがトランプバブルを生むかもしれません。

まとめ

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出典:BBC

投資の世界において未知は恐怖ですが、同時に期待ももたらします。“Make America Great Again”(アメリカを再び偉大にする)をスローガンに掲げるトランプ大統領の金融政策には未知数な点が多く、具体的な発表の度に市場が大きく揺れる荒れ相場を警戒しておいた方が良いでしょう。

米国経済反映の象徴だった工業地帯の人々から強烈な支援を得たことからも分かるように、トランプ大統領はアメリカ経済の復興のために製造業を重視する政策を打ち出す可能性が高そうです。貿易面を考慮すると過度なドル高は好ましくないので、長期的にはドル安・円高を意識した金融策を推進するのではと予想します

いずれにせよ、トランプ氏が正式に大統領に就任するのは2017年の1月です。新政権の政策方針が正式に発表されるまで、安易に相場の流れに追従するのは非常にリスキーです。常に国内外のニュースに気を配り、先行き不透明なトランプ相場に十分に注意を払いましょう。

          
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