米中貿易戦争の陰でCLOUD ACTが米議会を通過!ネットユーザーのプライバシーが政府に侵害される恐るべき法案を徹底解説!

2018年3月22日、トランプ大統領は米国の知的財産権を侵害している中国に対して、最大600億ドル規模の高関税を賦課する文書に署名しました。

制裁国として名指しされた中国も即座に報復措置を表明。アメリカと中国という世界を代表する大国間の相互関税により、国際的な貿易戦争が始まる可能性が指摘されています。

週明けの日経平均株価は先週末の1,000円近い暴落の反動で小幅高となりましたが、完全解決に至るまでこの問題はしばらく尾を引きそうです。

さて、世界中の関係者がくだんの関税引き上げ騒動に目を奪われている最中、ある法案がどさくさに紛れて米上下院議会を通過したことを御存知でしょうか?

それは、CLOUD ACT(CLOUD法)と呼ばれる法案です。

聞き慣れない名前かもしれませんが、この法律により、アメリカ企業のサービスを利用している世界中のインターネットユーザーのプライバシーが政府によって侵害される可能性があります。

はたしてCLOUD ACTとはどのような法律なのでしょうか?詳しくまとめてみました。

CLOUD ACTとは?

CLOUD ACT(CLOUD法)は、2018年3月23日にトランプ大統領の署名によって成立した法律です。

ちなみに、CLOUDは”Clarifying Lawful Overseas Use of Data(海外における合法的データ使用の明確化)“の略。

個々のユーザーが持つデータやソフトウェアをインターネット経由で統括するCloud(クラウド)サービスと名前が似ていますが、別物です。

CLOUD ACTは、捜査機関が国際的な範囲で電子データにアクセスできる根拠を規定する法的枠組みです。

CLOUD ACTの概要

  • オンライン上に保存されているデータ(個人情報を含む)への当局のアクセス権限を強化。
  • 情報開示に必要な手続きを大幅に簡略化。
  • 米国政府は、海外にあるサーバーのデータも収集することができる。
  • 同様に、海外政府も米国企業に対してデータの提供を求めることができる。

⇒簡単にまとめると、当局が企業・団体を捜査する際、海外サーバーに保存されているデータも強制的に提出させることができるということです。

米国政府は法的措置を根拠に、ネット上に蓄積されている国民のデータを入手しやすくなりました。

しかもそれは外国政府にとっても同様であり、日本や中国などの国々も必要に応じて米国企業の持つパーソナルデータを共有することができるのです。

CLOUD ACTが制定された経緯

CLOUD ACTは、法的機関と情報技術業界との間に時折発生する「分断」を解消することを目的として、2018年2月に考案されました。

CLOUD ACTが必要とされる理由

  • インターネットの普及に伴い、国境に関係なく活動できるネット上を違法行為の場所として悪用する犯罪者が増えてきた。
  • 現行の法律では機密保持の観点から外部サーバデータの取得が非常に難しく、捜査に支障が出ている。

⇒当局が法に抵触することなく迅速に世界中のデータにアクセスできる国際的枠組みが不可欠!

アメリカではこれまで多くの裁判所がサーバデータの情報開示を巡って当局の申請を却下しており、活動範囲の制限が問題になってきました。

世界的IT企業・Microsoftの関係者もヒアリングに呼ばれたことがあり、「データプライバシーは司法の裁判所が個別に審理するのではなく、立法の米議会が抜本的に対処すべき問題だ」と主張していました。

そして米議会の議員だけでなく、Microsoft、Apple、Google、Facebookなど、多くのIT企業が同法を支持するようになっていったのです。

CLOUD ACTによって想定される事態

確かにCLOUD ACTは、近年急増しているサイバー犯罪に対処する上で絶対に必要となる法律です。海外のサービスプロバイダを利用して活動しているハッカーも、同法によって迅速に追跡することが出来るでしょう。

しかし、各国政府のデータアクセス権限を強化しすぎると、民間企業の弾圧や個人のプライバシー侵害に繋がる恐れがあります。

CLOUD ACTの問題点

  • アメリカ国内外の政府は、令状なしに米企業から通信記録を検閲できる可能性がある。
  • 本人への許可・通知なしに、理不尽な理由で個人情報が流出する可能性がある。
  • プライバシー保護法が全く機能しなくなる恐れがある。

特に影響が懸念されるのは、新興の仮想通貨業界です。

各国政府はビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨がマネーロンダリングに悪用されることを非常に警戒しており、世界中の政府が仮想通貨取引所にユーザーデータの提供を要求する可能性があります。

Coinbaseの例

  • 2017年7月、アメリカの大手仮想通貨取引所・Coinbase(コインベース)に対して、米歳入庁が全ユーザーの情報引き渡しを要求。
  • Coinbaseが拒否したため、法廷闘争に突入。
  • 2017年11月、取引量の多い1万4000人分の個人情報だけは提出するよう裁判所命令が下る。
  • 2018年2月、条件に合う投資家の納税者ID、氏名、住所、生年月日、仮想通貨取引履歴等が米歳入庁に提出された。

当時はユーザー情報開示に応じる法的義務がなかったため、Coinbaseはすんなりと法廷闘争に持ち込めました。

しかし、CLOUD ACTが制定された現在、政府からの情報開示命令を拒否すれば、その仮想通貨取引所に営業停止処分が下る可能性が極めて高いです。

もしもP2Pのネットワークまでもが監視されるようになれば、サトシ・ナカモト氏の目指した「自由な経済圏」が根本から踏みにじられることになるでしょう。

CLOUD ACTはなぜ世間に認知されていないのか?

これほど横暴的な法律がなぜ世間で騒がれていないのかと不思議に思う方もいることでしょう。

実はCLOUD ACTは、同時期に米議会で審議されていた「包括的歳出法案」に追加されてどさくさに紛れて可決された法案なのです。

包括的歳出法案とは、1兆3000億ドル(およそ138兆円)にも上る連邦政府の9月末までの歳出を決める重要な法案です。万一成立しなかった場合、政府機関が一部閉鎖されることになるため、議会は大急ぎで審議を進めていました。

一時トランプ大統領が拒否権の発動を示唆していましたが、最終的には譲歩。3月23日に無事署名にこぎ着けました。

そして時を同じくして、包括的歳出法案に追加されたCLOUD ACTも、下院256対167、上院65対23で可決。

共和党内部でも同法案を危惧する声が上がりましたが、2232ページにも及ぶ包括的歳出法案が優先され、のんびり審議している時間が無かったのです。

そして世間の関心は完全に米中貿易戦争に集中しているため、圧倒的権力を持つCLOUD ACTが存在すら意識されずに成立するという異常事態になっています。

まとめ

大手IT企業がCLOUD ACTを賞賛している反面、人権団体や一般ネットユーザーは強い反発を見せています。

  • Microsoftの声明
    「CLOUD ACTは、自国の犯罪を調査することができないことに不満を抱いている外国政府のニーズに対応できる。」
    >>Microsoft
  • 主要IT企業の共同声明
    「CLOUD ACTの制定は顧客の権利保護に向けた大きな前進であり、法への抵触が減るだろう。」
    >>Microsoft
  • EFF(Electronic Frontier Foundation、オンラインでの個人の自由やプライバシー保護を目的に活動している非営利団体)の声明
    「あなたのEメール、オンラインチャット、FacebookやGoogle等の履歴が海外当局によって検閲される恐れがある。」
    >>eff
  • Andreas M. Antonopoulos(ビットコイン伝道者)の声明
    「プライバシーが犯罪扱いされれば、本当の犯罪者だけがプライバシーを持つことになる。」

当事者であるIT企業がCLOUD ACTを支持していることを不思議に思う方がいるかもしれませんが、その理由は極めて単純です。

  • 現行の法律では、当局から要求された情報引き渡しに応じる法的根拠が無い。
  • 犯罪捜査に協力したくても、ユーザーのプライバシーを軽んじるようなことをすれば企業としての信頼にかかわる。

⇒その点、CLOUD ACTが情報公開の枠組みとして機能してくれれば、自社がプライバシー侵害の責任を問われる心配がなくなる♪

今やインターネットは国民の生活の一部であり、行動の履歴を見ればその人物のパーソナリティを簡単に暴くことができます。たかがネットと軽視することは出来ません。

法的執行機関といえども、所詮は人間。選挙コンサルティング会社のCambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)がFacebookユーザー約5,000万人分のデータを不正利用する事件が起きている現代、当局が取得した個人情報が悪用されないという保証がどこにあるのでしょうか?

そして何より、これほど重要な法案を通すにあたって慎重な協議が行われていない現状に恐怖を覚えます。

個人的に、民主主義の代表国・アメリカがどんどん社会主義化しているような印象を受けます。

CLOUD ACTがインターネット犯罪の減少にのみ機能することを願わずにいられません。

          

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