米中貿易戦争によって世界経済はどうなるのか?今後の相場の展開を予想してみた

出典:wsj

2018年3月22日(日本時間23日未明)、トランプ大統領が中国の知的財産権侵害に対抗する関税措置文書に署名したことをきっかけに、相場は大混乱に陥っています。

トランプ大統領が500億ドル相当の対中制裁関税に署名!中国の知的財産権侵害対策でさらに貿易戦争への懸念が強まる!

世界各国の株価の下落率

  • NYダウ:-2.9%
  • 中国上海総合指数:-3.4%
  • 韓国総合株価指数:-3.2%
  • 香港ハンセン指数:-2.5%
  • 豪ASX200指数:-2.0%
  • 台湾加権指数:-1.7%
  • 日経平均株価:-4.5%

世界中の株価が全面安となっており、中でも日本の市場が最も大きな影響を受けています

下げ幅は一時前日終値比1000円を超え、およそ5か月ぶりに2万1000円台を割ってしまいました。東証の空売り比率は50.3%と過去最高を更新しており、多くの投資家が株価の下落を予想しています。

為替相場でもドル売り円買いが進み、一時104円台に突入するほど円高が進みました。相場全体がリスクオフに動いています。

未曽有の貿易戦争を前にして、世界中の投資家が不安心理に陥っている現状が如実に表れています。

中国政府の反応

トランプ大統領の発言を受けて、中国商務省も早速コメントを発表しました。

  • 中国は米国の関税措置に反対する。
  • 中国は貿易戦争を全く怖れていない。正当な利益を守るために報復措置を取る準備も整っている。
  • 米通商法301条の調査は、米国がWTOルールに対して無知なことを示している。
  • 米国とは緊密に連絡を取っており、話し合いは順調に進んでいる。米国が2国間の経済関係を危険に晒さず、対話によって事態を解決することを願っている。

出典:bbc

ここ数日の間に、トランプ政権は数々のアメリカ・ファースト政策を実行に移しています。

  • 中国の知的財産権侵害に対抗し、中国が米国に多く輸出する電機、通信機器、家具、玩具など100品目を超える製品を対象に年500億ドル(およそ5兆2500億円)規模の高関税賦課
  • 鉄鋼製品に25%、アルミニウムに10%の輸入関税の発効
  • 「中国の外国特許権侵害はWTO(世界貿易機関)規則に違反している」として、中国をWTOに提訴

一方、中国も以下のような具体的な対抗措置を発表し徹底抗戦の構えを見せています。

中国商務省の掲げる30億ドル相当の報復措置計画

  • 第1段階:フルーツやワイン、ナッツなど120品目に15%の追加関税をかける(約10億ドル相当)
  • 第2段階:豚肉やアルミニウムなど8品目に25%の関税をかける(約20億ドル相当)
  • アメリカの横暴的な関税措置をめぐって中国もWTOに提訴予定

年間500~600億ドル相当の高関税をかけようとしているアメリカに比べると、段階的に計30億ドル相当の関税しかかけない中国の対抗措置は、随分と拍子抜けな報復のようにも思えます。

とはいえ、これはあくまで現時点における計画に過ぎません。アメリカの態度次第では、さらなる追加関税を実施する可能性が十分に考えられます。

米中貿易戦争に勝者はいるのか?

トランプ大統領はTwitterにて、「貿易戦争に勝つのは楽勝だ」とコメントしており、一貫して強気な態度を崩していません。

はたして、この貿易戦争は本当にアメリカにとって利益になるのでしょうか?

結論から言うと、もしも米国と中国がまともに相互関税をかけあえば、不利になるのはトランプ政権の方だと言えます。

貿易戦争がトランプ政権に不利益な理由

  • 中国から米国への輸出額は4670億ドル。一方、米国から中国への輸出額は1240億ドル。数字上は中国の方が不利だが、中国には輸出先をアメリカ以外の国に変更する選択肢もあり、アメリカの根本的な貿易赤字解消に結びつかない。
  • その上、アメリカ企業は中国での活動が困難になり、魅力的な国際市場を失うことになる。
  • また、アメリカの輸出国トップ3はカナダ・メキシコ・中国が占めており、中国はアメリカ産の大豆・トウモロコシ・豚肉・航空機の「お得意様」である。
  • その中国がアメリカからの輸入品に高関税をかければ、アイオワ州、ウィスコンシン州、ミシガン州などの農業地域および航空機の生産工場のある工業地域の経済が大打撃を受ける。(実際、ボーイングの株価が5%近く急落している。)
  • 皮肉にもこれらの地域はトランプ氏を大統領選で勝利に導いた支持エリアであり、民衆の不満がトランプ大統領の支持率に直結してしまう。
  • 相互関税の我慢比べになった場合、生産者・消費者物価指数の高いアメリカの方が民衆から不満が出やすい。

保護貿易により、トランプ大統領は自滅する恐れがある!

面白い事に、現在発表されている中国の報復リストの中に、米国作物の約3分の1を占める大豆を筆頭とした主輸出品の名前がありません。

つまり、中国政府はアメリカの急所となる「切り札」を手元に隠し、余力を残した状態でアメリカを牽制しています。
巧みな戦術に、「中国は貿易戦争を全く怖れていない」という発言の本気度がうかがえます。

トランプ政権の狙い

客観的に見ると、なぜトランプ大統領はこんな無謀な貿易戦略を展開するのかと不思議に思えてなりません。

その最大の理由として、トランプ大統領の側近に反中思想の強いタカ派の存在が見え隠れしていることが挙げられます。

出典:cnbc

トランプ大統領の貿易アドバイザーを務めるピーター・ナヴァロ氏は、大の中国嫌いの強硬派として有名です。

ピーター・ナヴァロ氏の反中思想

  • 著書「米中もし戦わば」の中で、中国の経済発展は米国にとって脅威になると分析。
  • 独自の法体系を持つ中国と対話によって問題を解決することは極めて困難であり、将来的には軍事衝突の可能性が高いと主張。
  • 為替操作国である中国の不正な貿易慣行を改めさせる必要があり、そのためには法人税減税による米国企業の成長性強化、高関税による中国製品の輸入減少、中国企業が違法な手段で技術を獲得できないよう知的財産権の保護強化が不可欠と持論を展開。
  • また、中国の拡大を阻止するために、日本や韓国などのアジアの同盟国との連携が重要であり、米国は同盟国を守り続けるべきと主張。

驚くべきことに、トランプ政権がピーター・ナヴァロ氏の思想を忠実に遂行していることが分かります。

実際、トランプ大統領本人も「米中もし戦わば」の書籍を非常に気に入っていると発言しており、まるで予言書のような存在と化しています。

ホワイトハウス内の強硬派は、対中制裁によって中国の経済発展を本気で阻止しようと目論んでいる可能性が高いです。この貿易戦争は、単なるパフォーマンスで終わりそうにありません。

まとめ

米中貿易戦争で一番迷惑をこうむっているのは、米中に挟まれている日本に他ならないでしょう。

日経平均株価が当事国以上の下げ幅を見せているように、海外要因に振り回されやすい日本の株式市場にとって大国間の経済戦争は最悪の売り材料になってしまいます。

しかも日本は、トランプ政権の関税引き上げ適用除外国に入っていません。

トランプ大統領はホワイトハウスで安倍首相について以下のようにコメントしています。

安倍首相は素晴らしい人物であり、友人だ。彼はいつも微笑みを絶やさない。その笑顔の裏には、「これほど長期間アメリカを利用できて信じられない」という考えがあるのだろう。だが、そうした日々は間もなく終わる。

トランプ大統領はビジネスマン上がりの政治家であり、決して好き嫌いで物事を判断しているわけではありません。

米国にとって世界第3位の貿易赤字国である日本との貿易不均衡是正は、対中制裁に匹敵するほど重要な課題。たとえ同盟国であろうと、ビジネスの話となれば別問題。そうやすやすと関税適用除外国に認定はしないでしょう。

はたして日本はアメリカ相手に対等の交渉を展開できるのか?安倍政権の外交力が試されています。

なお、米国政府は1か月以内に企業と協議しながら公式の関税リストを作成する予定です。

トランプ政権は、この1か月以内に中国が貿易不均衡是正に向けて譲歩することを期待するとコメントしています。

どちらかが高関税を譲歩し歩み寄れば、市場が懸念しているような世界的貿易戦争は回避され、平穏を取り戻すでしょう。個人的にはこのパターンを期待したいところですが、現状それも難しそうです。

米国と中国、どちらが先に譲歩の姿勢を示すのか。それともこのままチキンレースに突入してしまうのか。この問題は、相場の悪材料としてくすぶりそうです。

          

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