2018/03/03

なぜトランプ大統領の追加関税発言で株安・円高になるのか解説!株価・為替のさらなる下押し圧力に注意

2018年3月2日の日経平均株価は、前日終値より542円安い2万1181円で今週の取引を終えました。NYダウは3営業日連続で値下がりしており、3月1日には前日比400ドル超安を付けました。

為替相場でもドル円が数日のうちに107円台から105円台まで円高に振れています。月足チャートにも下落トレンドがありありと現れており、上値の重い展開が続いています。

最近の相場の地合いがかんばしくないのは様々な理由に起因していますが、中でも注目すべきはトランプ大統領の関税賦課発言です。

強い米経済指標やパウエル新FRB議長のタカ派発言などもあってやや円安に振れていたドル円が、トランプ大統領の発表を切っ掛けに突如円高へ。一体何が起きたのかとビックリした方もいるのではないでしょうか。

なぜトランプ政権が新たな関税を課すと相場は株安・円高に傾くのでしょうか。その経緯と今後の予想をまとめてみました。

トランプ大統領の発表した追加関税案について


出典:朝日新聞デジタル

2018年3月1日、ドナルド・トランプ大統領はホワイトハウスでの大手鉄鋼メーカー首脳らとの会合にて、アメリカに輸入されてくる鉄鋼とアルミニウムに新たな関税を課す方針を明らかにしました。

現在判明している具体的な輸入関税案は、

  • 鉄鋼:25%
  • アルミニウム:10%

となっています。鉄鋼製品の輸入価格が3割近くも跳ね上がるのは、世界的に見てもなかなか重い関税です。

まだ詳細については調整中であり、正式発表の日程は来週を予定しています。

  • 関税の適用除外国が設けられるのか?
  • 輸入品種による関税の免除はあるのか?
  • 関税とは別に輸入割当数量を課すのか?

などのポイントが注目されそうです。

トランプ政権が鉄鋼製品とアルミニウム製品に輸入関税を課す理由

共和党のドナルド・トランプ氏は、大統領選挙時から「アメリカ・ファースト」を掲げ、保護貿易主義を打ち出していました。

特に、アメリカ国内の製鉄産業の悲惨な現状を憂いており、事あるごとにツイッターで「米国は不公正な貿易によって不利益を被っている」とコメントしていました。

  • 米国の製鉄産業は、2000年頃には国内で約1億1200万トンの生産量を誇っていた。
  • 2008年の金融危機を契機に低迷が始まる。
  • 2016年頃には、約3割減の8650万トンまで減少。
  • 2000年頃には13万5000人だった雇用者数も、2016年頃には約4割減の8万3600人にまで減少した。
  • 今や米国は鉄鋼製品を100か国以上からの輸入に頼っており、輸入量は輸出量の4倍に上っている。

⇒「他国が米国の製鉄産業の衰退につけこみ、大量の鉄鋼製品をアメリカ国内で不当に安く売っているせいで、実質的に鉄鋼業界の労働者や鉄鋼会社が抹殺されている」とトランプ氏は批判。

トランプ氏は選挙時に「我が国の防衛のためには、偉大な鉄鋼メーカー、偉大なアルミニウムメーカーが必要だ」と述べ、何十年にも渡って惨めな扱いを受けてきた米国の鉄鋼・アルミニウム産業の再建を約束。

「忘れ去られていた人々」から強い支持を得たことが、トランプ氏の大統領選勝利につながった経緯があります。

従って、関税賦課方針自体は以前から判明していた話であり、いまさら驚くべきことではありません。

輸入関税賦課が今の時期になった理由

トランプ大統領は2017年4月に通商拡大法232条に基づき、商務省のウィルバー・ロス商務長官に対して、大量の鉄鋼製品の輸入がアメリカの国家安全保障への脅威になっているかどうか調査するよう命じていました。

その調査結果が2018年の1月頃にまとまり、以下のような内容が結論づけられました。

鉄鋼・アルミニウム輸入の双方とも、米国の安全保障を損なう恐れがある。
⇒輸入是正措置が必要であり、追加関税政策もその選択肢の一つである。

つまり、トランプ大統領は決して思いつきで輸入関税賦課を決めたわけではなく、水面下で着実に手筈を整えていたのです。

ただし、2018年3月1日の追加関税発表は予定時刻より遅れてスタートしました。これは、政権スタッフの間で追加関税案を巡る意見の衝突があったためだと言われており、トランプ政権内でも賛否の分かれているプランであることがうかがえます。

関係者の反応

追加関税案の報道を受けて、相場は大きく動きました。

  • 米製鉄各社の株価は大幅に上昇。
  • 自動車メーカーなど鋼鉄を購入する側の企業の株価は下落。

ダウ平均はトータルで約1.9%下落。ドル円も105円台まで円高に。

追加関税案によって相場が大きく株安・円高に動いたのは、保護貿易主義の世界的拡大に伴い各国の反発が懸念されたことが大きな要因となっています。

米国の鉄鋼製品輸入量の上位国

国名 輸入量
(万トン)
全輸入量に対する比率
(%)
カナダ 580 16.1
ブラジル 468 13.0
韓国 365 10.2
メキシコ 325 9.0
ロシア 312 8.7
トルコ 225 6.3
日本 178 5.0

出典:SBI証券

米国のアルミニウム製品輸入量の上位国

国名・地域 輸入量
(万トン)
全輸入量に対する比率
(%)
カナダ 248 43.0
ロシア 63 10.9
UAE 57 9.9
中国 55 9.5
バーレーン 21 3.7
アルゼンチン 18 3.2

出典:SBI証券

上記の表を見れば一目瞭然なように、今回の輸入関税賦課によって影響を受けるのは、

  • カナダ
  • ブラジル
  • 韓国
  • メキシコ
  • ロシア

などの工業国です。

上位10か国の中にランクインしている日本も他人事ではなく、世界各国の要人はすでにトランプ政権の方針に対して強い反対意思を表明しています。

  • カナダのクリスティア・フリーランド外相は、「いかなる関税も絶対に受け入れられない」と発言。
  • ジャンクロード・ユンケル欧州委員長は、「欧州連合(EU)は我々の利益を守るために断固とした相応の対抗措置を取る」と発言。
  • 輸入関税を引き上げた場合、中国は米国への報復措置を取ると表明。
  • アメリカ国内でも、鉄鋼製品を買う側の企業がコスト上昇を懸念。業界幹部らが追加関税に反対するロビー活動を展開。

ただでさえNAFTA(北米自由貿易協定)再交渉が難航している中、カナダやメキシコ、他の主要同盟国との軋轢が顕著になれば、米国の保護貿易主義への警戒感から「貿易摩擦」が激化し、世界的に株式市場が不安定になっていく可能性があります。

しかも当のトランプ大統領は貿易戦争を歓迎するかのようなツイートを投稿しており、世界各国と徹底的にやりあう強気の姿勢を崩していません。

3月の相場展望

現在の相場は、以下のリスク要因により株安・円高に進みやすい状況です。

  • 追加関税
  • 米長期金利の上昇(イエレン前議長のハト派路線を継承するとみられていたパウエルFRB議長が年4回の利上げを織り込むタカ派に。)
  • 北朝鮮情勢

目先は、

  • 3月4日のイタリア総選挙
  • 3月9日の米雇用統計
  • 月末の3月期決算

等のイベントが意識されそうです。

日経平均株価はNYダウの影響をモロに受けており、今後の展開はやはりアメリカ次第でしょう。

テクニカル的に見ると2月頃にも日経平均株価が2万1000円台まで落ちて反発しているので、このサポートラインが機能するかどうかが見所。このままあっさり割るようなら、2万円割れも覚悟した方が良さそうです。

為替は株価の動向を睨みながらの神経質な展開が続きそう。

追加関税案によっては日本国内の鉄鋼製品関連の銘柄も打撃を受ける可能性があるので、製造業とは反対の通信・キャッシュレスサービスを物色してみるのも面白そうです。

仮想通貨などのキャッシュレスサービスを追求している金融系企業
  • 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)
  • 三井住友フィナンシャルグループ(8316)
  • みずほフィナンシャルグループ(8411)
次世代通信規格・5Gを推進している通信業界企業
  • au KDDI(9433)
  • NTTドコモ(9437)
  • ソフトバンクグループ(9984)
          

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