英国のEU離脱は世界経済にどのような影響を与えるのか!?今後の為替相場の展望と戦略を探る!

英国民投票

出典:BBC News

2016年6月23日に英国で実施された国民投票にて、遂に英国のEU脱退が決定しました。結果は、離脱派が1741万742票で51.9%、残留派が1614万1241票で48.1%。わずか3%程度の僅差ですが、紛れもなく過半数を獲得した離脱派の勝利です。投票率はおよそ72%と非常に高い数字であり、国民の関心の高さがうかがえます。

今回の歴史的なイベントは何年も前から世界中の投資家の関心を集めており、投票結果が出るまでうかつに動けない状態が続いていました。開票速報が流れる度に為替レートが乱高下する展開が続き、離脱勝利が確定するとポンド、ユーロはすさまじい勢いで下落。円も100円割れする事態となりました。日経平均はおよそ1300円(約8%)の暴落。この日だけで世界の株式市場で約2兆ドル分の資産が喪失する最悪の週末になってしまいました。

なぜ離脱派が残留派に勝ったのか?

EUに加盟していれば、貿易の関税撤廃や補助金支給といった経済的なメリットを享受し続けることが出来ます。EUから脱退すれば金銭的な利益だけでなく諸外国との信頼関係など失うものがあまりにも大きく、関係者の間では国民投票の結果は残留に決まるだろうと予想する意見が多数を占めていました。にもかかわらず、英国の国民は離脱の道を選んだのです。なぜ離脱を推進する意見が残留派を抑えたのでしょうか?

最大の要因は、国民の不満が想像以上のレベルに達していたことです。

EU加盟国間では様々な経済活動が自由化されており、外国人でも職探しや医療福祉などあらゆるサービスを享受するすることが出来ます。貧困国にとってはありがたい話ですが、富裕国にとって大きな経済的負担になることは否めません。

近年急増している中東からの移民・難民のせいで、英国内の施設は人で溢れかえっています。待ち時間が長くなるだけならまだしも、就労機会まで奪われては生活に支障が出ることは明白。さらにトルコのEU加盟によりISのテロリストが潜入してくるかもしれないとあれば、難民を押し付けてくるEUと縁を切りたいと考えるのは当然のことです。

いかに寛容な英国人といえども、自分たちの生活を脅かされて頭に来ないはずがありません。経済的混乱を予見していた政府・金融関係者はこぞってEU離脱のリスクを宣伝しましたが、それがかえってエリート層への怒りという炎に油を注ぐ結果になってしまいました。

そしてもう一つの理由は、「英国の独立」という大義に思わず便乗してしまった人が大勢いたということです。

英国のインターネットユーザーは国民投票が終了した今頃になって「EUの役割」や「EU脱退の影響」を検索しているというデータが話題になっています。実際に離脱に投票した有権者の中にも、世界中で勃発している混乱の様子を目の当たりにしてから自分の考えが甘かったことに気付いたという方が少なくありません。

もちろん自分の意思でEUとの決別を選択した方が大半でしょうが、ボリス・ジョンソン前ロンドン市長をはじめとしたやり手の政治家のクールな離脱推進運動にそそのかされ、大した考えも無く離脱票を投じてしまった方もいたことは紛れもない事実です。ネット上ではRegret(後悔)とExit(出る)を組み合わせた「Regrexit(EUを離脱したことを後悔)」という新たな造語が飛び交っており、再投票実施を求める署名活動まで展開されています。(実現の可能性は低いですが。)今回の国民投票では、英国人の誇る強いアイデンティティーが理知を上回るほど暴走してしまったのかもしれません。

各方面の反応

離脱決定の一報後、ポンドやユーロだけでなく人民元や韓国ウォンなど世界中の為替レートが急落。その中でスイス国立銀行は、スイスフランの上昇を抑制するためにいち早く為替市場への介入を決定しました。

オバマ大統領はキャメロン首相やメルケル首相と電話会談を行い、世界経済への影響を最小限にとどめるためにG7で緊密に連携する方針を確認しました。一方日本では麻生財務相が「為替市場の動向を注視し、必要な時には対応する」と介入の可能性を示唆。多くの金融関係者が警戒を強めています。

EU加盟国は英国を引き留めるどころか、「なるべく速やかに離脱手続きを進めるように」との共同声明を発表。軋轢が決定的となり、英国の「独立」が「孤立」に変わるのではと憂慮する意見も少なくありません。

当の英国では、これまで残留を推進してきたデイビッド・キャメロン首相が引責辞任を表明しました。EU残留を強く支持していたスコットランドでは首相が英国からの独立をほのめかしており、英国国内でも混乱が続いています。

また、世界で最も有名な投資家の一人ジョージ・ソロス氏は、英国のEU離脱は同国の雇用や金融に深刻な影響を及ぼすと発言。EU離脱に要するコストを過小評価するあまり、自分たちの財務状況に影響がないと思い込んでいるEU離脱派の軽薄な考えを批判しました。EUから離脱すればポンドが対ドルで少なくとも15%あるいは20%以上下落し6月24日が「暗黒の金曜日」になる恐れがあるというソロス氏の予言は見事に的中したことになります。ソロス・ファンドが安全資産として名高い金への投資比率を増やしている状況が、市場の先行き不透明感を如実に表しています。

今後の展望と投資戦略

EU離脱の好材料を模索してみましょう。まずは、EU加盟国の呪縛とも言うべき経済負担から解放されることです。現在のEUは難民やギリシャの財政破綻など様々な課題を抱えており、英国は年間200億ポンド近い負担を強いられてきました。それらの圧迫が無くなることで、英国国内の財政・インフラ改善への期待が高まります。

また、英国はEU加盟国の最大の輸出国であり、EUにとって重要なパートナーである事実に変わりはありません。政治的な関係が途切れても経済的なつながりまで無くなるとは考えにくいものがあります。さらに北米や中国との提携を強化していく中で、これまで以上の経済発展を取り戻せるかもしれません。現在はパニック売りのせいでポンドが暴落していますが、長期的に見れば英国経済の成長により再びポンドが上昇する可能性はあります。

 

逆に、EU離脱の悪材料を模索してみましょう。まずは、英国経済が危機的状況に陥るリスクです。英国はこれから2年間EUとの離脱交渉に入るわけですが、これ以上脱退国を出したくないEUとしては、反旗を翻した英国に見せしめとしてきつい関税を設定するでしょう。対EU貿易のコストが上昇し、ビジネス拠点を英国から他の国へ移転させる国が続出するかもしれません。そのほかの貿易相手国との交渉の際にも足元を見られて不利な通商条件をのまされたら、せっかく独立した意味が無くなります。今後2~3年間に英国のGDPは5%以上減少するだろうと見る専門家もいます。

また、英国国内の政情も軽視できません。独立を目指すスコットランドとの対立が再燃すれば、最悪内戦に発展する恐れがあります。首都ロンドンの独立という突拍子もないプランまで浮上しており、英国が空中分解するシナリオが懸念されます。下手をすれば、さらにポンドが低迷するかもしれません

そして英国を失ったEUも非常に痛手です。ドイツに次ぐGDPを誇る英国が抜けたことで財政が悪化するのは確実。さらには英国民投票の影響を受けて、他にも離脱を表明する国が出てくるかもしれません。欧州圏の混乱によりユーロが下落。その流れは貿易相手国である日本経済にも波及し、さらに株安・円高が進行する可能性が高いでしょう。

 

正直なところ、世界経済がどちらのシナリオに進むか全くの未知数です。なにぶん欧州経済共同体からグリーンランドが脱退した例をのぞけば、EUから脱退国が出るのはこれが初めて。前例のない事態であり、取引市場ではほぼ確実に様子見やリスクオフの機運が高まります。ドル円相場はこのまま米利上げへの期待まで後退していけば、再び100円割れして90円台前半を目指すかもしれません。

日本政府は株安・円高の長期化に備え、介入や追加緩和を検討しているとの報道があります。短期的に見ればあまりにも売られ過ぎている現状は買戻しのチャンスですが、欧州圏の情勢が落ち着くまで相場の混乱が長期化する展開も視野に入れておくべきです。全く予期せぬタイミングで株価や為替レートが急変するかもしれないので、チャートだけでなく国内外の経済ニュースにも細心の注意を払いましょう。

          

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